アニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』 ロン・ベルク役・東地宏樹さん×ノヴァ役・岡本信彦さん対談掲載のVジャンプ7月特大号は本日発売!!

本日発売のVジャンプ7月特大号では東地宏樹さん×岡本信彦さん対談を掲載中です! 今回は本誌の一部を特別にお届けします!

――お2人はロン・ベルクとノヴァという師弟を演じられました。岡本さんは生粋の『ダイ』ファンと伺っておりますが。

岡本 もう大のファンです! 同年代はみんな好きだったと記憶してます。ジャンプ本誌の連載も読んでいましたし、もちろん単行本も買っていました。

連載当時は小学校低学年だったと思います。当時アニメもやっていて、本放送はもちろん、夏休みによくやっている再放送も観ていましたね。でも、バラン編で終わってしまうのが切なくて…。

ジャンプ本誌で『ドラゴンボール』が最終回を迎えたとき、『ダイ』はキングと戦っているあたりだったと思います。それくらいよく覚えていますね。友だちと『ダイ』のどのキャラが好きか話したり、傘を持ってアバンストラッシュの真似をしたり…もしくは『るろうに剣心』の牙突零式。あ、読者のみなさんは危ないから真似しちゃダメですよ!(笑)

――当時の全国の少年たちも通った道だと思います(笑)。『ダイ』はくり返し愛読されたのでしょうか。

岡本 もう何度感動したかわからないくらいです。子どもの頃ですら感動したのに、大人になってから読んでもまた違った感動があるというか。

子どもの頃は自分も周りもダイやヒュンケルが好きな子が多かったんですが、大人になるとやっぱりポップが好きになりますね!

――ポップが好きという方は多いですね。

岡本 大人の目線から読むと、ポップに全部の感情を持っていかれてしまうというか。小学生でもちょっと変わった子はクロコダインが好きだったり、さらに強がりたい子はバーンが好きだったり。バーンの名ゼリフ「今のはメラゾーマではない、メラだ」「大魔王からは逃げられない」って何度も真似していましたね。

――東地さんは『ダイ』をご覧になった印象はいかがでしたでしょうか。

東地 僕はアニメを駆け足気味に観ているのですが、作画がすごくて驚きましたね。特に、戦っているシーンのキャラクターの表情が尋常ではなく、見入っていました。バランが力尽きるシーンは感動しましたね。そこにロン・ベルクも出てきて、おお自分のやってるキャラもカッコいいなと思って。

登場シーンが飛び飛びなので、収録であまり状況を把握できていなかったのですが、その後のミストバーンと戦っているところなんてすごいスピードでしたね。

――超人的な戦いですよね。

東地 最初は物語の先を知らずに、ロン・ベルクは人間ではない長命な人で、鍛冶師をやっているけど今はちょっとうらぶれている、くらいの知識でいました。

ただ別の場所で、明日『ダイ』の収録でロン・ベルクをやるんだよと言ったら、2~3人がものすごく食いついてきて、『ダイ』についていろいろとレクチャーしてくれたんです(笑)。

ちょうど今の岡本くんみたいに猛烈にしゃべられて、ああ物語において重要なキャラクターなんだなということを思い知らされました。寡黙な雰囲気で登場したなと思ったら、いきなり刀に関して大声で怒鳴り始めたり。刀鍛冶に対するプライドが非常に強く、そこがスタート地点になっているキャラクターなんだなと感じ、改めて面白そうな役だなと思いました。

――バーンに道具のようなあつかいをされて、魔王軍からは去っていったのですよね。

東地 すごく向上心の強い人ですよね。バーンに「光魔の杖はロン・ベルクの最高傑作」と評されたけどそれに失望して、もっと上をめざしたいから出ていったわけじゃないですか。

でも窮地に陥ったとき、生命を投げうってまでみんなを助けようとしたノヴァに心を打たれて、再生に70年かかるほどの大技を放った。

――ロン・ベルクさんが止めなかったら、ノヴァはやはり命を落としていたんでしょうね。

岡本 イケメンだったのがどんどんげっそりしていって、見てるだけでもかわいそうでしたよね。

東地 それでも生命の剣では効かないというのがわかっていたから、どうにかしてやらないとと思ったんでしょうね。

でも誰かを奮い立たせるのに、歳とか経験は関係ない。ロン・ベルクに腕を捨てる覚悟をさせるには十分だったんでしょう。

ダイはバランとの戦いで、誇りで勝てるなら苦労はしないというようなことを言っていましたが、それでも誇りがなきゃ勇者でいられないし、そういった考えのせめぎあいがダイを高めていっているのだと思います。

岡本 ロン・ベルクさんは、どのキャラクターよりも達観していて、作品で一番大人な人だと思います。キャストが東地さんと聞いた瞬間に、ああぴったりだなって思いました。

東地 兄貴声というか、誰かを育てるとか見守っているような役は多いかもしれないですね。

――岡本さんにとって、ノヴァはどのようなイメージでしたでしょうか。

岡本 連載を読んでいた小学生の頃の印象だと、弱いクセに突っかかってきて嫌な奴だなと感じて、正直あまりいい印象ではありませんでした。

反してロン・ベルクさんは当時からカッコいいと感じていました。最初はヒュンケルの鎧化のシーンで「ロン・ベルク作」と名前だけ出てきて謎めかせたり、最終決戦間近に満を持して戦いに参戦したり、その上あのいけ好かないノヴァに対しても寛容な心で師匠になってくれる、人間的にもできた人で。

ノヴァがいたからこそ、さらに好感度が上がったキャラなのかもしれませんね。一度しか使えない大技を使うというロマンあふれるシーンを見せてくれましたし。

他にも子どもの頃は、星皇十字剣をバーンに放っていたらどうなっていたのかとか、ロン・ベルクが他の六大魔団長と戦ったら勝てるやつはいたのかとか、「もしも」の対戦カードの話をして延々と盛りあがっていましたね。ミストバーンなら渡り合えるかもしれないけど、クロコダインは一瞬で切られちゃうかなとか。

――子どもは時として、残酷ですね…。

岡本 案外冷静に戦力を見てるんですよね。そんな会話をずっと楽しんでいました。

――岡本さんは今回ノヴァを演じられることになって、原作を読み返されたのでしょうか。

岡本 はい、読み返しました。その結果、ノヴァにはノヴァなりの努力や信念があると見えてきました。印象としては、「いけ好かないやつ」から「かわいそうなやつ」という感情に変わったかもしれないです。彼なりに北の勇者としてがんばってきたけれど、どうしても実力差を埋められなかった。それでも、「マヒャド!」と叫べた2人目のキャラクターになれたのは嬉しかったですね。

あと1つ言っておきたいのは、ヒムに対して。彼に攻撃したとき「机のカドに額をぶつけたくらいの痛み」とイヤミを言われたんですけど、それで命を落とす可能性もありますし、ワンチャンあったかもよ? と思うことにしました。

――ノヴァもイケイケだったころですね。

岡本 それから天と地ほども実力差があることを思い知るんですけど、ダイから言われた「勇者としてできること」をやろうと思うようになってからは、人間臭さを感じるようになりましたね。

――ノヴァは、その後のお話を見てみたいキャラクターの1人と言えると思います。

岡本 ロン・ベルクさんという、超強いにもかかわらず強固な信念を持っている、筋の通ったキャラクターを師匠に持って、どんな道を歩んでいくのか気になりますね。

――『ダイ』で共演されているみなさんについて、感じられたことはありますでしょうか。

東地 バラン役の速水奨さんがすごいですよね。僕にとっても先輩なのですが、「圧」がやばいです。

岡本 速水さんがあんなにも声を張って叫んでいる姿は、久々に見た気がします。お声自体も低く強いので、達観したようなキャラクターを演じられることが多いかとは思うのですが、あれだけの大死闘をくり広げて、最後には目も見えなくなるくらいのところまで行きつくキャラクターを演じられることはあまりなかったのではないかと思います。

東地 いやすごかったよね。速水さんといったら、落ち着いた綺麗ないい声というイメージがあったので。

もちろん速水さん以外のみなさんも、改めてすごいなと思いながら見ていました。ザボエラ役の岩田光央さんとミストバーン役の子安武人さんの対決も面白かったな。あの回は収録が一緒で、最高でしたね。

――収録の際のエピソードなどはありますでしょうか。

岡本 とにかくもう、ヒム役の三木眞一郎さんが怖かった。脅威でしたね。昨今の状況の中、久々に出演者がそろって収録ができたのですが、勝てそうにない三木さんの圧や、認めたくないダイからの声も飛んできたりして、複雑な心境を現場の空気感を感じながらみんなで作り上げられた感じがして、すごく楽しかったです。

――それでは、ロン・ベルクとノヴァにとって一番の見せ場となった、第77話について伺えますでしょうか。

岡本 子どもにとってはわかりやすく悪を退治する場面ですが、大人にとっては胸をうたれる名シーンになる、特別なエピソードかもしれませんね。

東地 ノヴァの命がけでも助けになりたいという行動のを見て、ロン・ベルクは忘れていたものを思い出して大技を放つわけじゃないですか。それから師弟関係を結ぶというのが、もう台本を読んだ時点で嬉しかったですね。それまでそんなことはしないような子だったノヴァが、動かせない腕の代わりになるっていうのが。この2人をめぐり合わせるという原作の構成が、本当にすごいですよね。

岡本 この回も一緒に収録ができて、星皇十字剣、本当にカッコいいなと思いましたね。職人としての腕を捨てる覚悟をして放つ、最後の花火というか。

東地 この話数の台本をもらったときに、間違いなく作品全体でも名場面なんだなと自覚しました。ロン・ベルクの登場シーンはそんなに多いわけではないので、なかなか現場で作品の内容についての話を伺うこともできなかったんです。ですが、ここで見せなきゃいけないのは命を懸けるということだと自然と理解できました。2人とも、人のために命を投げうつ覚悟があるんだということを見せられればという思いで演じさせていただきましたね。

――ロン・ベルクとノヴァは師弟関係を結びましたが、お2人にとって師匠、もしくは弟子とよばれる方はいらっしゃるのでしょうか。

岡本 けっこう興味がある話題です、個人的に。

――VJ6月号では、種﨑さんが関さんに弟子入りしたというお話を伺いました。

岡本 ダイがハドラーに弟子入り! なかなか奇妙な師弟関係ですね(笑)。

東地 大塚明夫さん(※注1)からあるとき、そういった弟子制度っていいんじゃないとお話を伺ったんですよね。現場に連れてきたり演技を見せたり、いろいろと話が早いじゃんって。ただ、弟子にするのは自分の認めたやつだけ。なるほどなと思ったんだけど、岡本くんはそういうのってある?

岡本 僕が新人の頃、『ダイ』でもミストバーン役を演じていらっしゃる子安武人さんと、それから沢城みゆきさん(※注2)と僕の三兄弟が主人公のアニメに出させていただいたんですね。それで第1話目を何も考えないで感覚的に演じてしまったら、沢城さんにものすごく指摘とアドバイスをしていただいて、本当に助かりました。どこにいるつもりでしゃべっているのかとか質問されても全然答えることができなくて、それで2話目以降はしっかりと場面や心境を自分で書き出すようになりました。

一方で子安さんからは、大事なのは演じるキャラクターを好きになって魅力を引き出すことだと言われたのが印象に残っています。

東地 沢城さんは面倒見がいいっていうか、特別なタイプなんじゃないかな。

岡本 お2人からは本当にいろいろと教えていただきました。ナチュラルに演じるやり方もあるけど、いろいろなタイプの声優さんがいるから、とにかくどんどん吸収していくように言われましたね。

――こちらはみなさんに伺っている質問なのですが、『ダイ』における名コンビというと誰と誰が浮かびますでしょうか。

岡本 大人になって物語を振り返ると、ポップとマトリフさんの関係性がすごく好きです。

かつてハドラーを倒した勇者一行の魔法使いで、歳をとっても現役スケベオヤジのマトリフさんが、後継者を見定めて力を託して、力を失いつつも笑顔で去っていくというのがすごくもの悲しいですよね。

それに対して、子どもの頃はキャラクターの強さ議論で盛りあがっていました。怪力自慢のボラホーンとクロコダインなら、どっちのほうが筋力があるのかとか。ボラホーンの攻撃をヒュンケルは軽く受け止めて「クロコダインのほうが上」と言っているんですが、あのときのヒュンケルは闘気をまとっていたから、あまりに強すぎて比較がブレたんじゃないかとか、ずっと議論していましたね。

――そのあたりは今でも議論が絶えないところですね。東地さんはいかがでしょうか。

東地 名コンビといわれると、誰と誰でもくっつけられないことはないなと感じます。でもしいて挙げるなら、チウとポップの関係性はかわいらしいなって思いますね。お互いに皮肉を言い合ったり、いいコンビだと思います。

――なるほど、貴重な意見をありがとうございます。

――それでは最後に『ダイ』ファンのVJ読者のみなさまに向けて、メッセージをいただけますでしょうか。

岡本 僕自身も、何度読み返したかわからないくらい『ダイ』は大好きな作品です。今回のアニメシリーズは物語の最後まで描かれるという、ファンとしてはこの上なくありがたい展開で、ラストの余韻も味わえるのかと思うと今からとても楽しみです。

『ダイ』という激動の物語は、作品内ではわずか3か月に起こったお話というのが信じられないです。3か月あれば人は変われる、なんならノヴァは30分で変われた。そう考えると本当に強い精神を共有するバイブルというか、今の子どもたちにもぜひ観てもらいた作品だと思います。

VJの読者のみなさんであればそのあたりはもうご存知かと思いますが、さまざまな名シーンやオリジナル展開なども含めて楽しんでもらえたら嬉しいです。

東地 僕はアニメで一気見した口ではありますが、ものすごく入り込んでしまって、自分自身で楽しみになりましたね。これからさらにクライマックスを迎えていきますが、その中でロン・ベルクとノヴァの2人はどう描かれるのかも楽しみにしていただきたいですし、もちろん一生懸命演じますので、そちらも楽しみにしていただければと思います。

――本日はありがとうございました!

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