特別公開!! 三条陸先生×芝田優作先生 獄炎対談③「未来」編

『勇者アバンと獄炎の魔王』第2部開始を記念し、Vジャンプ12月特大号にて掲載された三条陸先生×芝田優作先生の対談をWEBでも特別公開!今回は、いよいよ始まる第2部について語る「未来」編を公開だ!
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――では、いよいよ「未来」となる第2部について、現時点で公開可能な情報を教えていただけますでしょうか。ほとんどの読者が「ハドラー討伐」で物語が終わると考えていたと思います。だからこそ、第1部終盤を読んで膝を打ったのではないでしょうか。魔王討伐で平和になった「ハズ」の世界が描かれるとは! そして第2部……「先生編」が開幕するとは!
三条陸(以下:三条):連載開始から2年ほど経ったときに、担当編集の金さんから「ハドラーを倒しても……物語は終わらないですよね?」という、質問とも要望とも取れるようなお話をいただいたんですよ(笑)。もちろん、ハドラーを討伐した後にも、アバンには『ダイの大冒険』が始まるまでの時間というものがあります。だから、それまでアバンがどこにいて、何をしていたかを、物語として順番に語っていくことはできますよね。それに、もし今後も物語を続けることができるのであれば、アバンとヒュンケルの関係性をリアルタイムで読者の皆さんに伝えることができるなという考えもありました。それで、「勇者編」は終わるけれど、「先生」になったアバンがヒュンケルと一緒に活躍する話なら描けそうです、とお話ししました。

――なるほど。ちなみに第1部の終盤に現れた「魔剣のライゼ」をはじめ、8人の新キャラクターと武器が登場しました。ズバリ、彼らは何者なんでしょう?

三条:それはもう……Vジャンプ2月特大号(2024年11月21日発売)から活躍しますのでお楽しみに、としか言えないですね(笑)。全員が動物の仮面を被っているというコンセプトなんですけど、曲者揃いというか……。旧魔王軍はみんなハドラーのために一致団結して、規則正しく統率の取れた奴らでしたけど、ハドラーが討たれた今、魔物達はそれぞれの思惑のままに動きます。そういう意味では、『ダイ』初期の六大軍団長に近いような、ある意味、〝困った奴ら〟になると思います。そういう、何をしでかすかわからない面白さみたいなものも出せるかなと思います。そもそもライゼが単独でアバンの様子を見に行っちゃうところからしても、統率とはほど遠いですよね(笑)。僕は、そういうタイプの敵軍団のほうが好きなんですよ。悪役同士がちょっと小競り合いしたりする感じとか。
芝田優作(以下:芝田):そうですね、人間関係に変化が見えますよね。むしろハドラーの旧魔王軍の面々は、人間関係が良すぎたぐらいで。すごくいい組織でしたよね(笑)。今度は、〝ちょっと違う感じの奴ら〟という印象があります。
三条:『アバン』第1部を読み返すと、『ダイ』初期の魔軍司令だったハドラーがますます不憫になります(笑)。
芝田:わかります(笑)。
三条:困ったやつらばっかりで……(笑)。

――「魔剣」の軍団は8人ですよね?これは『勇者アバン』『ダイの大冒険』含めて、チームの人数としては最大ということになりますよね?
芝田:そうですね。三条先生は「敵方は2の倍数で考えている」と、以前にお話しされてましたよね? 4とか6とか。
三条:そうですね。『ダイ』では、「味方側は五星」で「敵側が六星」の魔法陣という設定でチームを作っていたんです。5人パーティと六大軍団長ですね。何となくなんですけど、ヒーロー側のグループが偶数というのは、あまりウケない印象があるんです。センターが決まらない感じというか。それから偶数の軍団って、半々に割れるじゃないですか。魔王軍もそうなんだけど、偶数の軍団は揉め出すと決着がつかないし、仲違いすると分裂しやすい。『ダイ』でも六大軍団長は、3:3に分裂して、クロコダインとヒュンケルとバランはやがてダイ側に付くんです。でも奇数だったら、たとえば5人で揉めても、必ず3:2になるはずだし、4:1になってもいい。多数決が成立するから、皆が納得しやすいし、真っ二つに割れて対立することがないという意味では、奇数の方が〝正義側っぽい数〟なんだろうなと思っているんです。それで『ダイ』では、5対6という構図にしたんですよ。だから『アバン』でも、ハドラーの部下は4人にしたんです。四天王みたいな感じで。で、4と6を使っちゃって、2だともう軍団じゃなくてコンビだから、じゃあ次は8で行くか……って、そんな感じで決めたんですよ(笑)。

――第2部では、この8人との戦いが中心になりそうですね。4:4で割ることができるし……とか、いろいろ展開を考察してみるのも楽しいかも。
三条:あ、それから! 後にアバンが武器ごとの武術を大別するのですが、そのひとつが「アバン流刀殺法」です。それとは別に、5つの武器の殺法が存在します。
芝田:今回、そこにつながってくるような雰囲気を感じますよね。僕も設定書をいただいたときに、「あ、これはそういうことなのか?」って思ったんです。
三条:そうそう。たとえば「地雷閃ってどうやって編み出したの?」という『ダイ』ファンの皆さんへの回答を描ければいいなと思っているんです。たとえば今回の敵の中に槍使いがいたとしたら……。
芝田:「たとえば大地斬を応用できる!」みたいな……? 想像が膨らみますね!
三条:やがてアバンが作ることになる「アバンの書」に、武器ごとの技の系統が書いてあったら面白いと思うんですよね。
芝田:第1部最終話の第44話で、一応武器のシルエットだけはざっくり描いたので、「どんな武器があるのかな」と見てもらえたら楽しいかもしれません。まあ、とは言っても、まだ形状などを決めきっているわけじゃないので、ディテールは少し変わるかもしれませんが(笑)。

――第44話を読み終わった読者の皆さんが、「終わって寂しい……」と思った瞬間に、「第2部……だと!?」と驚かれて、そして今はもう期待に胸を膨らませているはずです。
芝田:この間、X(旧Twitter)で、海外の方から「『勇者アバンと獄炎の魔王』のフランス語版の1巻が出ましたよ」ってリプライをいただいたんです。「ありがとうございます」とお礼をしたら、「次の回で最終回ですか?それとも続くんですか?」と質問されて (笑)。そのときは「ちょっと答えられないのですが、もうちょっと……1か月ぐらい待って読んでみてください」としか返せなかったんですけど、世界中の人が気にしてくれているんだなあ、って。

――世界中の読者の皆さんが期待しているって、本当にすごいことですよね。そうなると、『アバン』はどこまで描かれる物語になるか、気になってしょうがないのですが、ひとまず今後の物語は「アバンとヒュンケルが主人公」というイメージで考えておけばよいでしょうか?
三条:そうですね、しばらくはゴーストハドラーもウロチョロしますけど、ハドラーはそろそろ寝なきゃいけないので(笑)。
芝田:そうですよね(笑)。
三条:傷が癒えたハドラーの身体に、バーンが変な黒い物を入れて、「ハイできたよ~、もうおやすみ~」と言われたら、ハドラーは強制的に寝ないといけませんからね(笑)。

――働きすぎですもんね、ハドラーは。
芝田:次にハドラーが目覚めてから数年が経って『ダイ』が始まるわけですから、ハドラーにとっての「準備期間」も描くことになるかもしれませんね。

――僕らの大好きなフレイザード誕生の謎も明かされるかも知れませんね!
三条: 13年後の「新生魔王軍結成」までを描けるのなら、そういう場面や、あるいは例のモルグのシーンなんかも描けるかもしれませんね。どこまでやるのかは決めていないですけど、もしやるとなったら、そこまで踏み込んでいくということですしね。

――もちろんそれは、読者の皆さんの応援があれば、ってことですよね!
三条:そうですね。やるとなったら、キャラクターが出てくる順番はもう決まっているので、隠しようがありません。ヒュンケルの後はマァム、ポップと来て……。

――想像が膨らみすぎて止まりません! では最後に、第2部開幕を心待ちにしてくださっている読者の皆様に向けて一言ずついただいて、この獄炎対談を締めさせていただきます!
芝田:第2部では、これまでの4人パーティから、アバン先生とヒュンケル少年の2人が主役になります。アバンのデザインもガラッと変わって、いわゆる「先生」スタイルになり、僕としても新たにキャラクターを描いていくことになります。あの巻き髪とかメガネの感じとか、まだまだ描き慣れないのですが、稲田先生の描かれたアバン先生を研究中です! それからヒュンケルの成長過程も描いていけたらと思っています。まだ見ぬ敵もいっぱい出てきそうなので、改めて気合いを入れ直して、新しい冒険に備えて頑張って作画していきたいと思います! よろしくお願いします!!
三条:第2部では、勇者だった頃のアバンとはまた違った冒険――――「次の世代に繋いでいこう」という〝アバン先生〟の想いを描くことになります。続々と現れ、後に「アバンの使徒」と呼ばれることになるキャラクター達との出会いや交流、アバンが彼らをどのように見ていたのか……という部分も描けたらいいですね。どこまで描けるかは、今はまだわからないですけどね。『勇者アバンと獄炎の魔王』を始めたときもそうなんですけど、アバンという新しい主人公の冒険譚として、『ダイ』を知らない読者の方も楽しめる。そのうえで、『ダイ』の読者にとっては『ダイ』の解像度が上がるというか、二度おいしい形にできたらと思っていたんです。だから、第1部とは若干ベクトルは変わるかも知れないですが、第2部でもやはり同じ魅力を、両面備えた形で伝えていきたいなと思っています。頑張りますので、よろしくお願いします!!

――『勇者アバンと獄炎の魔王』第2部は11月21日(木)発売のVジャンプ1月特大号から開始!
新たなアバンの物語を見逃すな!

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